金箔の始まり
日本で最初の金・銀箔がいつごろ作られたのか、詳しいことは正確に解明されていません。古くは金箔が施された古墳時代のアクセサリーが発掘されています。また、金は古代から永遠、不変を象徴するとして、寺院建築や仏像彫刻に使われてきました。平安、室町、安土桃山と発展する日本の仏教文化の浸透とともに中国伝来の製箔技術がやがて日本独自のものとして定着し、今日へと発展してきたといえます。金沢でいつの時代から金箔、銀箔の製造が始まったのか定かではありませんが、加賀藩の藩祖・前田利家が、文禄2年(1593)に豊臣秀吉の朝鮮の役の陣中より、明の使節団の出迎え役を申し渡され、武者揃えの槍(やり)などを飾るため、領地の加賀、能登で金箔、銀箔の製造を命じる書を寄せているのが始まりとされています。