フランスのフレグランスメゾンゲランの香水に、箔一が金箔を装飾

ゲランのフレグランス「ミツコ」100周年
ジャポニズムへの回帰と箔一

この度「ミツコ」は誕生から100年を祝し、スペシャルボトルを今秋発売。そのボトルは、ミツコが持つ歴史やこだわりを一層高めるため箔一の金箔装飾が全体に施され、書家の中塚翠涛氏が描いた紅白梅が美しくあしらわれました。

ゲランの名香であるミツコは、第一次世界大戦後の1919年、フランスで“ジャポニズム”が大流行していた時代に生まれました。当時、3代目調香師ジャックゲランが小説の“ラ　バタイユ”の主人公である日本人女性“ミツコ”の慎ましやかでありながら、強い意思を秘めた女性像にインスピレーションを受けて創作した香りです。

ボトル全体に施された金箔装飾は、箔一がフランスのゲランより依頼を受け、ゲランがイメージする「ミツコ」を表現するため試行錯誤を繰り返しました。金箔の製造は大変な時間を要するためボトルへの加工を含め、およそ240時間という時間を費やし、一つ一つ熟練の職人が繊細な手業によってボトルに美しい装飾を施しています。

今回発売される「ミツコ100周年アニバーサリーエディション」は、「ミツコ」が生まれた当時のジャポニズムの時代を思わせます。まさに100年の時を経てフランスのブランドと日本の伝統工芸との融合が実現した作品とも言えます。

ゲランの想いを具現化した箔一の箔装飾

金箔“散らし”技法で、
世界に１つだけのデザインに

この記念ボトルの装飾は、ミツコのコンセプトを表現したいという依頼で、金箔装飾についての細かなオーダーは無く、３つのキーワードが与えられました。それは「日本女性らしさ」「美しさ」「芯の強さ」です。箔一では、無限にある金箔装飾の表現の中から、どのような装飾をこの記念ボトルに施せば良いのかが難しいプロジェクトでした。ボトルの形状や大きさもまだ未確定の段階でスタートしてこともあり、難易度が非常に高いことが予想されました。ゲランの想いを具現化した表現を探りながら、サンプルのやり取りを何度も重ねました。金箔の貼り方や、材料自体も、金と銀、銅の配合率を細かく変えたものなどあらゆる提案を繰り返しました。

試行錯誤の結果生まれたのが、独創性を表現したこの記念ボトルとなったのです。ボトルには箔一の職人が「散らし」と呼ばれる技法を用いて、手作業により装飾しています。金箔は23.5カラット。熟練の伝統工芸士が時間をかけて丁寧に作り上げた素材を用いています。手作業で舞い散る金箔をボトルに施すため、それぞれの作品には唯一無二の魅力が備わっています。豪華な金箔装飾の上からは、カリグラフィーデザイナーである中塚翠涛が描く紅白梅が描かれており、ミツコの控えめながら情熱的な美しさが表現されています。

Message

ミツコ100年の歴史に、
日本の伝統工芸である金箔が選ばれたということ

数年前に、フランスのゲランから依頼があった際は、大変驚きました。しかし、同時に世界を代表するフレグランスボトルの節目に、箔一にお声掛け頂いたという事実は大変光栄であり、日本の伝統産業にとって意義のあるプロジェクトになると予感していました。

私たちはヨーロッパ諸国においては、ファッションブランドの建築装飾実績がありましたが、ゲランのようなフレグランスブランドとは初の試みとなります。当初は不安もありましたが、ゲランのものづくりに対する熱い姿勢は、当社の改革精神に通じるものがあると感じ、サンプルの製作にも熱が入りました。スペシャルボトルに梅の花を描かれた中塚翠涛さんには、完成前に当社の工房を見学していただき、ゲランの想いを形にするためお互いミツコをイメージした表現や方向性について意思疎通を図ったことも今回の成功に繋がったと感じています。

ミツコ100年の歴史に、日本の伝統工芸である金箔が選ばれたということは、伝統産業にとって歴史に残るプロジェクトでありました。ゲランを代表するフレグランス「ミツコ」が、今後も多くの方を魅了し次の200年目、300年目の節目にまでこの歴史が伝え続けられると願っています。

株式会社箔一代表取締役社長浅野達也

Presentation

8月1日に行われたプレス発表会では、国内外のメディアを招致しミツコが持つ歴史や、長く継承されている香り、そしてボトルのデザイン性について語られ多くの来場者を魅了しました。会場に来ていたルイ・ヴィトン・ジャパンの社長とも、ものづくりについてお互いの想いを共有する機会もあり、日本の良いものを一緒に作っていこうという言葉をもらいました。世界の中で、日本がものづくり大国として認められていることを実感した瞬間でもありました。

プレス発表会の後開催された、特別な顧客様を招いた会では、お酒とともに箔一の食用金箔を用いたフルコースでもてなされ、和やかな雰囲気の中で記念ボトルの紹介がされました。食事をしながら改めて完成までの経緯や、箔一のこだわりをゲランファンのお客様に聞いていただき、数年の苦労が報われた瞬間でもありました。