2018年のリニューアルした大阪国際空港。利便性の高い都市型空港として広く親しまれるこの空港に、関西の玄関口としてふさわしいもてなしの空間を作りました。
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インフォメーション周辺などには光柱が設置されています。これは、柱をアクリルの透明の板で取り囲み箔を散らして照明を当てる仕様となっています。箔は、光の当たり方で輝きが変わります。そうした箔の面白さを生かしたデザインと言えるでしょう。これも原案のスケッチをもとに、デザイナーと職人が工房で検討を重ねながら仕様を決定しました。職人が箔をふり、そこに照明の光を当て、反射の仕方を検討しながら、調整を繰り返しました。そうして最終的なデザインは、議論を重ねながら決定されました。
飲食フロアの壁面などには、箔にグラデーション加工を施したルーバーを約1000本使っています。片面は青のグラデーション、反対側は赤のグラデーションとなっており、これは全日本空輸と日本航空のロゴの色に対応しています。これは、JAL側の発着口に向かっているときには赤が見え、ANA側に向かうと青が見える仕掛けとなっており、美しさと機能性を兼ねたデザインと言えるでしょう。
これらの加工は職人の手作業で行います。グラデーションの濃淡は、職人の感覚による部分が少なくありませんが、このルーバーではほとんどぶれがなく見事に揃っていることが特徴です。これは、工芸品を作るのと同じ丁寧な仕事と、緻密な工程管理によって生まれたものです。
金箔で格子模様を表現した合わせガラスです。ガラス表面に金箔、内側に銀箔のシートをあしらっています。レイヤーが分かれることで、独特の立体感が生まれるほか、表から見ると金、裏から見ると銀が強調され、違った趣きが感じられるようになっています。 これは、スクリーン印刷の技法を応用して作っています。スクリーンによってデザインとおりに接着材を塗布し、そこに金箔をあしらって、のち一枚ずつ手作業で削り取っていくという作業を繰り返します。こうした手間をかけて絵柄を浮かび上がらせているのです。
これらの作業期間は5ヶ月にも及びました。大きな案件をこなす中でも、伝統の金沢箔の魅力を最大限に表現したいと、職人の手仕事を中心に仕上げていきました。
大阪国際空港がオープンしてから、かかわったメンバーで、金沢から大阪への視察旅行も実施しました。一つずつのパーツを丹精込めて作ったメンバーたちですから、完成した様子に感動もひときわな様子でした。
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