日本美術の礎となる名品を、後世に伝えるために
金碧障壁画は、金箔(きんぱく)を押し、その上に絵を描いた障壁画です。権力誇示の象徴として権力者に後押しされた絵師たちが贅の限りをつくし豪華絢爛に描いた障壁画は、日本のみならず世界に「日本美術」のレベルの高さを示した大変貴重な文化財です。これらの文化遺産は、歴史を経るにつれ劣化し、当時の風合いを残す事は大変困難です。また、多くの人の目に触れるような機会をつくるということは、紫外線や、空気、湿気などの影響により劣化を進行させます。
数百年もの時を超え受け継がれてきた美しさを、後世に伝えるために、現代のデジタル技術による最高レベルの技法と、永く継承されてきた伝統の職人技をあわせることで、高精細の複製品をつくり上げました。複製品は保存される現物に代わり、展覧会を行うなどより多くの人の目に触れる機会を作る役割を担っています。また原画は当時の技術を研究し、修復することで後世に美しいまま残していくだけでなく、その当時の技術を修学し、その技術を継承することに努めています。これら文化財保全活動を通じて、箔一は日本美術の礎となる名品を、後世に伝えていきたいと考えています。