ひがしやま酒楽

老朽化した住宅を大幅に改修し、かつてあった町並を復元した。

「空き家があるので、買ってもらえないか」
不動産業者の方からの連絡が入りました。
ひがし茶屋街の奥で、一般住宅だった物件が空いており、それを引き受けてくれないかというオファーでした。物件が通りに面していたため、きちんと街並や景観を大切にする人でなければだめだということで、慎重に買い手を探していたようです。担当の方は、「美かざり あさの」の町家復元のことを噂に聞き、私たちに声をかけていただいたようでした。

正直、状態は良くありませんでした。どこかで無理な増築でもしたのか、半地下のような空間があり、これが裏口を圧迫して、出入りするのも難渋するような作りでした。そもそも建築基準法にも、合致していませんでした。
町家復元の大変さは、「美かざり あさの」の経験でわかってはいたものの、わざわざ声をかけていただいたこともあり、また、当時、石川県の地酒を扱う店を持ちたい、という構想もあったことから、引き受けることにしました。
工事は、大掛かりなものになりました。改修ではありますが、基礎や骨組みの部分以外は、ほぼすべて取り換えることにし、茶屋街にふさわしい、上品で歴史を感じるデザインに生まれ変わりました。
ここはいま、地元の酒販店「酒の井なみ屋」様のご協力のもと、地酒を広く取り扱う店となりました。特に、店頭で利き酒ができるサービス（有料）が好評で、北陸の食文化を発信する場所として蘇っています。