町屋再生への取り組み

町屋再生への取り組み

金沢は、歴史都市ともいわれます。
それは、藩政期の面影を今に伝える美しい街並みが、多くの人を魅了してきたからでしょう。なかでも「ひがし茶屋街」は、ひときわ風情を感じるエリアです。
いまでこそ観光客でにぎわうひがし茶屋街ですが、かつて、この景観が失われそうな危機にも直面していました。繁華街は金沢市中心部へと移っていき、「一見さんお断り」の閉鎖的ともいえる茶屋文化は、少しずつ規模を小さくしていきました。茶屋を廃業した権利者の方が、維持費のかかる町家を断念して、一般的な住宅に建て替えてしまうケースも少なくありませんでした。
金沢市は、街並みの景観を守る努力をされてきました。条例の制定や美しい石畳への改装、無電柱化、ガス灯の設置などの修景事業などによって、景観は大きく改善されていきました。また、平成13年(2001年)に「東山ひがし重要伝統的建造物群保存地区」として選定されたことも、街並み保全への大きな追い風になりました。
一方で、行政ができることにも限界があります。特にそれぞれの建物は私有財で、権利者がいます。景観の主役となる茶屋建築を守るためには、民間の努力が欠かせないのです。公共空間は行政が、私的空間は民間が守る。このパートナーシップがうまく機能して、初めて美しい景観を次の世代に繋いでいくことができるのです。
私たち箔一は、金沢の伝統工芸を生業とする事業者として、また地元を愛する一市民の義務として、茶屋建築の復元や修復保存に取り組んできました。金沢市の担当者様や「金沢東山・ひがしの町並みと文化を守る会」などの地域のみなさまとも話し合い、足並みをそろえながら、誇りを持てる街並みを未来へと受け継ぐことを目指しています。
これまでの取り組みを、ご紹介します。