新しい金沢箔の色彩について。

伝統技術の「燻し」を現代に。

伝統的な金工の分野では、金属に色をつける様々な技法が考案されてきました。
色の違う金属を溶かし合わせて色彩を作る方法(例:四分一銀など)や、特殊な液で煮込んで着色する方法(例:朧銀など)、また燻して変色させる方法(例:燻し銀など)があり、多彩な色が生み出されてきました。

箔一では、こうした伝統技術を受け継ぎながら新しい技術開発を進めています。
なかでも金属の化学反応によって変色を促す方法では、箔一でしかできないオリジナルの色彩を数多く実現しています。
それらの新しい金沢箔について、ご紹介します。

 

目次

工芸と化学の融合ともいえる、古代箔や色彩箔。
自然の力が生み出す、美しいグラデーション。
失敗から生まれた個性的なデザイン。
伝承されていく伝統技術。
変化を促していく、色彩箔。


工芸と化学の融合ともいえる、古代箔や色彩箔。

鉄が酸素と反応して錆びついたり、銅が酸化して緑青が発生したりすることは良く知られています。
金属は、様々な成分と反応して変色する性質があります。これらを利用して、新しい金属の色彩をつくってきたのが古代箔と色彩箔です。
 


 



自然の力が生み出す、美しいグラデーション。

人工的な着色料を塗布するのではなく、自然の力を利用し、化学反応によって金属そのものの色を変える。そうした技法は古くからあり、金工の世界では「燻し」などとして知られています。人工的な着色と違い、深みがあり、自然現象ならではの微妙な揺らぎをもった、表情豊かな色彩が魅力です。箔一では、こうした技法を研究することによって、オリジナルで新しい色彩を生み出してきました。
 



失敗から生まれた個性的なデザイン。

古代箔は、箔一を代表する色彩です。周囲から中央へ向かって、複雑な色彩が層をなしています。その風情が悠久の時を感じさせることから、古代箔と名付けました。
この箔は、失敗から生まれました。当初は、箔の全面に色彩を施すことを目指していましたが、調整がうまくいかず、箔の周辺にだけ化学反応がおきました。その時は、失敗作と考えていましたが、工芸品に使ったところ、独特の文様がデザインとして美しいことに気がつきました。オリジナリティの高い色彩はすぐに評判を呼び、箔一のロングセラー商品となっていったのです。



伝承されていく伝統技術。

「燻し」の技術では、金属の化学反応を用いることで、様々な色彩を生んでいきます。このとき、分子レベルでの結合によって色彩が変化していくわけですが、こうした反応を意のままにコントロールすることは大変に難しいことです。そこには職人が積み重ねた技術と、長年の検証のよる精密なデータの融合があります。箔一ではこれらを、古代箔のレシピとしてまとめています。これは当社に伝わる大切な財産であり、ごく限られた技術者にだけ伝えられています。なお、古代箔は、寒い時期に作ったものはやや青っぽく、暑い時期に作ったものはやや赤っぽくなります。箔一ではデザインによって使い分けています。
 



変化を促していく、色彩箔。

真鍮に硫黄を反応させることで、多彩な色彩が得られます。これを応用したのが、色彩箔です。箔の色は、硫黄の濃度や反応時間によって微妙に変化します。色彩の変化はオレンジから始まり、赤、むらさき、淡青、ワインレッド、みどりへと移り変わっていきます。いずれも美しい色ですが、これも様々データの蓄積によって、安定した品質を実現しています。こうして生まれた微妙なグラデーションは、夕焼けや朝焼けなど、自然界だけが持つ、神秘的な情緒を感じさせます。



 

個性豊かな色彩を、ぜひ作品作りに取り入れてください。

箔一では、こうした金沢箔を1枚から提供しています。
通信販売からでも購入いただけますので、ぜひご利用ください。