自然の力が生み出す、美しいグラデーション。
人工的な着色料を塗布するのではなく、自然の力を利用し、化学反応によって金属そのものの色を変える。そうした技法は古くからあり、金工の世界では「燻し」などとして知られています。人工的な着色と違い、深みがあり、自然現象ならではの微妙な揺らぎをもった、表情豊かな色彩が魅力です。箔一では、こうした技法を研究することによって、オリジナルで新しい色彩を生み出してきました。
失敗から生まれた個性的なデザイン。
古代箔は、箔一を代表する色彩です。周囲から中央へ向かって、複雑な色彩が層をなしています。その風情が悠久の時を感じさせることから、古代箔と名付けました。
この箔は、失敗から生まれました。当初は、箔の全面に色彩を施すことを目指していましたが、調整がうまくいかず、箔の周辺にだけ化学反応がおきました。その時は、失敗作と考えていましたが、工芸品に使ったところ、独特の文様がデザインとして美しいことに気がつきました。オリジナリティの高い色彩はすぐに評判を呼び、箔一のロングセラー商品となっていったのです。
伝承されていく伝統技術。
「燻し」の技術では、金属の化学反応を用いることで、様々な色彩を生んでいきます。このとき、分子レベルでの結合によって色彩が変化していくわけですが、こうした反応を意のままにコントロールすることは大変に難しいことです。そこには職人が積み重ねた技術と、長年の検証のよる精密なデータの融合があります。箔一ではこれらを、古代箔のレシピとしてまとめています。これは当社に伝わる大切な財産であり、ごく限られた技術者にだけ伝えられています。なお、古代箔は、寒い時期に作ったものはやや青っぽく、暑い時期に作ったものはやや赤っぽくなります。箔一ではデザインによって使い分けています。
変化を促していく、色彩箔。
真鍮に硫黄を反応させることで、多彩な色彩が得られます。これを応用したのが、色彩箔です。箔の色は、硫黄の濃度や反応時間によって微妙に変化します。色彩の変化はオレンジから始まり、赤、むらさき、淡青、ワインレッド、みどりへと移り変わっていきます。いずれも美しい色ですが、これも様々データの蓄積によって、安定した品質を実現しています。こうして生まれた微妙なグラデーションは、夕焼けや朝焼けなど、自然界だけが持つ、神秘的な情緒を感じさせます。
個性豊かな色彩を、ぜひ作品作りに取り入れてください。
箔一では、こうした金沢箔を1枚から提供しています。
通信販売からでも購入いただけますので、ぜひご利用ください。