新しい食用金箔、スターダストの開発について。

煌めく星のような、美しい金箔のトッピング。

箔一の食用金箔のひとつ「スターダスト」は、開発して15年以上のロングセラー商品です。美しい煌めきが楽しめるほか、在庫管理や加工のしやすさも人気の秘密です。このスターダストの開発にまつわる物語を紹介します。

目次

求められていた、新しい食用金箔。
新しい発見から生まれた突破口。
糊はくっつけるもの、という固定概念を壊す。
生産方法を工夫して、商品化にこぎつけた。
新しい可能性を広げた、スターダスト。


求められていた、新しい食用金箔。

箔一が1987年に料理用金箔を発売してから、食用金箔の市場は大きく広がりました。商品のラインナップも充実し、順調にお客様も増えていました。顧客層も広がり、パティスリーなどでも金箔が使われるようになってくると、新たなニーズが生まれました。当時求められていたのは、パリッとした質感があり、さっと振りかけて使えるタイプのものでした。金箔は、吐息で飛ぶほどに軽いもの。それが美しいのですが、扱いの難しさも否めません。これらをよりしっかりとしたものにして、さらなる広がりを期待していました。


新しい発見から生まれた突破口。

それまでにも、自由な形に切り抜けるタイプの金箔などを開発していました。これらは新しい食用箔の文化として、広く受け入れられてきました。ここで使用する食用フィルムには粘性があり、自由な形にデザインするには適していたのですが、イメージをしていた、金箔を砕いたようなランダムな形にすることはできませんでした。様々なフィルムをためしていましたが、適したものは見つかりませんでした。
 


糊はくっつけるもの、という固定概念を壊す。

あるとき、開発者が悩んでいると、工芸用の接着剤が乾いてパリパリになっているの偶然見つけました。手に取ってみると、薄いながらもしっかりとした質感があり、まさに求めていた感触でした。それまでは、フィルムという固定概念にとらわれ、糊はくっつけるためのものと考えていましたが、この時、接着剤の凝固する性質が箔の補強に使えることに気づいたのです。
 


生産方法を工夫して、商品化にこぎつけた。

早速、食用の糊をいくつも取り寄せ、金箔にあしらってみました。しかし、簡単にはいきません。糊は、固まるにつれ収縮します。金箔のような薄いものは、わずかに引っ張られただけでも破れたりゆがみが起こります。様々な食用糊を試しましたが、うまく使えるものは見つかりませんでした。突破口は別のところにありました。箔工芸の世界では、箔を和紙に張り付けて扱う「あかうつし」という技法があります。この技法にヒントを得て、金箔を固定することを考えたのです。しかし、和紙もまた水分を吸うため、糊との相性はよくありません。様々な素材を探した結果、あるフィルムに出会いました。これに箔を載せると空気が自然に抜け、完全に密着しました。さらに、糊の収縮に金箔が耐えるだけでなく、乾くにつれ自然と金箔が浮いくることもわかりました。まさに、理想のフィルムだったのです。
 


新しい可能性を広げた、スターダスト。

こうして生まれた商品が「スターダスト」です。これは、大きな可能性をひらきました。一つは重みです。金箔は羽のように軽い質感が魅力ですが、吐息でも飛ぶほどの軽さは、商品の生産ラインでは扱いにくさにつながります。スターダストは重みがあるため扱いやすく、さらにロスも少なく在庫管理がしやすいというメリットがあります。また、塗布された食用糊によって、ピンと張りが出て、金箔の輝きがより美しくなるというメリットもありました。無味無臭なので、スイーツはもちろん、お酒や和食などにも幅広く使われています。