能登の豊かな里山を守るために
「森は木を切らないと、ダメになる」。そう聞くと、意外に思う人がいるかもしれません。森林は間伐や枝打ちといった、定期的に木を切ることが必要です。木が生い茂りすぎると日照が地面に届かなくなり、下層植生とよばれる根元の植物が減っていきます。やがて地面の水分が減り、木が細くなり土砂災害のリスクも高まります。小動物や昆虫やの住み家が減って、生物多様性が損なわれることとなります。
「森は木を切らないと、ダメになる」。そう聞くと、意外に思う人がいるかもしれません。森林は間伐や枝打ちといった、定期的に木を切ることが必要です。木が生い茂りすぎると日照が地面に届かなくなり、下層植生とよばれる根元の植物が減っていきます。やがて地面の水分が減り、木が細くなり土砂災害のリスクも高まります。小動物や昆虫やの住み家が減って、生物多様性が損なわれることとなります。
森林には、こうした手入れが必要ですが、近年放置されるケースが増えています。安価な輸入材が主流になったため、国内の林業は担い手が減っています。枝打ちをしても資材として活用できず、費用も賄えません。さらに、持ち主のわからないため放置される林も増えています。こうしたことを背景に、森林がやせ細っていくという現象が各地で起きています。
私たちは、これらの課題に少しでも貢献したいと、森の木を有効活用する取り組みを進めています。特に枝打ちなどによって切り落とされる木材は、細すぎて建築資材としては使えないため、ほとんど捨てられています。かつては、一部の木工職人さんによって有効活用する取り組みがありましたが、近年これが絶えてしまっていました。私たちは、能登森林組合に許可をもらい、捨てられる枝を分けてもらって商品作りに取り組んでいます。
そもそも「能登ヒバ」は非常に優れた木材です。ヒノキ科の植物で別名「アスナロ」といいます。その名の由来は「明日は桧(ひのき)になろう」というもので、桧と並ぶ材質を持ちながらブランド力が劣るヒバをこう呼んだとされています。旧制第四高等学校(現在の金沢大学)出身の作家井上靖の小説「あすなろ物語」でも取り上げられ、向上心と負けん気の象徴として紹介されました。こうした物語も、能登ヒバの魅力の一つだと思います。
私たちの能登ヒバの商品は、山林から運びだすところから、乾燥、裁断、加工まですべて自社で行っています。能登ヒバの持つ美しい木目や培われた物語と、金沢箔の美しさが重なり合うことで、新しい価値が生まれ、能登の森林の豊かさを守ることにつながっていけばと願っています。
能登ヒバを使った商品は、金澤東山しつらえにて展示・販売しています。 全て一点ものにつき、品揃えは時期によって変わります。